■2004−10−3
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☆★☆ 週刊コマイナー(通称:週コマ) ☆★☆【021】
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「ぼ、ぼ、ぼ、ぼ、ぼく、じ、実はこ、こ、今週30歳になるんですよ。」
昼食のハンバーグ定食にじっくり舌鼓を打っていたPちゃん(仮名)が
急にそんなことを言い出した。
「ほー、そうなんや。おめでとう、Pちゃん。」
早々と食べ終わり追加注文のコーヒーをすすっていた僕は答えた。
「で、で、で、で、でもさ、30歳なんてふ、ふ、不安で不安でなんだか
怖いんですよ。で、で、できれば誕生日は来てほしくない。」
Pちゃんは脳性まひで両手両足が不自由です。
僕は月に1〜2回、Pちゃんの外出介護(ガイドヘルパー)と入浴の
介護をしている。
今はまだご両親が元気で一緒に生活をしているけれど、いつまでも
その生活が続くわけではない。
うーん、と僕もさすがに考えこんだ。とりあえず、
「不安か・・・そりゃ確かに不安だろうね。
けど30歳になったからと言って、急に何もかも変わるわけじゃないよ。
誕生日だっていつもと同じ一日が来るだけだし。
ただね、人生に節目を置いて考えることはいいことだと思うから、
Pちゃんがどんな風に30代を過ごしたいかを考えてみたら?
目標があれば漠然とした不安なんかは消えると思うけど」
と答えた。今振り返ると、なんとも説教臭いことを言ってしまった。
Pちゃんと30歳がらみの会話はそれっきり。
僕達は近くの神社にあるとびっきりの狛犬を見るため、ハンバーグ
のおいしかったそのお店を後にした。
そう、Pちゃんは僕の趣味に思いっきり付き合ってくれているのです。

僕はあの時、Pちゃんにどう答えればベストだったのだろう。
介護の仕事というのは、いつも自分を問われているように思います。
相手の気持ちになって考えてみろ!と日本人は特に言うけれど、
実際にはとても難しい。
これまでの社会環境や生活体験の中で得た自分の感覚をそのまま
相手に当てはめるわけにはいかない。
僕にできること、僕なりのやり方・・・。
それはやっぱり曲作りかな。(笑)
タイミングよく、詩人の浜村不純氏から届いたいくつもの詩の中に
ぴしゃりと当てはまる作品があった。
その詩をプリントアウトして数日持ち歩く。
銭湯にも入れるようにビニール袋にくるんでセロテープで密封。
こういう時に限って、意外に難産するんですよ。
日本中を引っ掻き回した台風が通り過ぎ、全国一斉に晴れマーク
がついた朝。高く澄んだ青空からふっとメロディーが降りてきた。
おぉ、何だか僕が作ったとは思えない耳障りのいい節回し。
その日がPちゃんの誕生日。とりあえず間に合った、セーフ。
まだPちゃんに聴いてもらってないけど。って、それならアウトじゃん。
おめでとうね、Pちゃん。
今度介護に入った時に無理やり聴かせてあげる。
それってまるでジャイアンみたい?

スイート・サーティ
                 作詞:浜村不純

この脚は動かないけれど
それぞれの運命から
離れられない哀しみは
春の鳥だって同じさ

すべて晒しているようでも
すべては晒していないんだ
夢より淡く 密やかに
ときどき君を想っている

迷惑かけようが
カネかかろうが
僕は生き切る
しっかり見ていて
Sweet 30

そよ風のように街に出た
仕方なく公園で夜を明かした
自由を求めてなんて言うけれど
コワイぐらい端から自由さ

この宇宙は壮大な
失敗作かもしれないと
沈んでしまう夜もあるけれど
いずれは朝がくる

チューブをつけてようが
植物状態であろうが
どうぞ生き切って
しっかり見ている
Sweet 30

※ちなみに、この詩のタイトルと”Sweet 30”の部分は
 僕が無理やりとってつけました。