■2004−11−28
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☆★☆ 週刊コマイナー(通称:週コマ) ☆★☆【029】
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夕暮れ時、ひと仕事終えて次の仕事へと、発泡酒片手に自転車
で移動中というのはなかなか気持ちのいい時間であります。
さてとここらで一つ浪花節でもひねろかなと思った矢先、元嫁の
番号でケータイに着信が入った。
この手のタイミングの悪さは離婚後も改善される気配なし。
わき道に入り片足つけて一つ深呼吸。
「もしもし、」
と心なしか国定忠治が入ったトーンで電話に出た。
「もしもし・・・」
おっ、その声は息子の丸藏(H保育所ライオン組所属)じゃあ
ござんせんか。
「ナマエノユライ教えて。」
「えっ、何なに?もう一回言ってみて。」
さっきの忠治トーンはどこへやら、普段の松方弘樹みたいな裏
返った声になってしまった。
「マルゾウ」
「うん。だから丸藏がどうしたん?」
「名前の由来お・し・え・て!」
息子の名前を「槙 丸藏」と決めた時から、いつかは来ると覚悟
してた日、その日がとうとうやって来た。予想より5年も早く唐突に。
と、夕陽を背に感慨にふけっている場合ではない。状況を聞きだし
て適切な返答をしなければ。
「どうして急にそんなこと聞くん?」
「○○君のお母さんに言われた。」
「何を?変な名前とか言われたんか?」
「・・・うん。だから知りたいねん。」
子ども同士で言い合ってからかわれたのかと思ったら、親から言わ
れたとは。最近は親の方が問題だ。
「丸藏は、自分の名前気に入ってるか?」
「気に入っている。」
力強い返答。よかった。それなら強気で攻めても大丈夫。
「そうか、父ちゃんも気に入ってる。母ちゃんもじいちゃんばあちゃん
もみんな気に入ってるで。丸藏っていい名前やって、みんなが褒めて
くれているの知ってるやろ。」
「知ってる。せやけどなんでマルゾウにしたん?」
「丸藏が生まれる時、それはそれはみんな喜んだんや。そしてみんな
勝手にいろいろ名前を考えていたんや。」
「どんなん?」
「周平とか翔太とか、そんな名前。でもな、父ちゃんどれもピンと来な
かった。丸藏は世界に一人だけなんやから、名前も世界に一つしか
ない名前にしたかったんや。」
本当は音楽家に育ってほしくて”槙廉太郎”にしたいと申し出たところ、
ふざけんじゃねえぞてめぇ!と元義理の父に怒鳴られしぶしぶ却下
したのだ。しかしそんな裏話は親子の真剣勝負時には省略。
「それで父ちゃんはずっとずっとずぅーっと、丸藏が生まれるまで名前
を考え続けていた。自転車乗っててもご飯を食べてても。聞いてる?」
「うん聞いてる。それで?」
「それである時、空から”マルゾウ”っていう言葉が降ってきたんや。
わかる?」
「わからへん。」
「・・・わからへんわな。(笑)」
どうしよう、こういう時のために3つぐらい理由を考えていたのに、いざ
となると、どれもぱっと思い出せない。
とにかくしどろもどろになりながら、丸藏が生まれた時の様子やじじばば
の喜ぶ様子、親戚の印鑑屋が字画数の素晴らしさを絶賛してくれて
東京のおじいちゃん(元義理の父)も納得した話とかをした。
「わかった!」
「そうか、何がわかった?」
「象みたいなんがいいんやろ。」
「そ、そうやな、象はいいよな。象みたいに賢く優しくたくましく丸藏が大き
くなってくれたら、みんなうれしいと思うで。」
「父ちゃん、ありがとう。」
「いえいえこちらこそ、丸藏。名前のとおり大きくなってくれてありがとう。」
で、一旦電話は終わった。
次の仕事先に5分遅れますと電話を入れて立ちこぎダッシュ。
♪逃〜げた〜 女房にゃ 未練はな〜い〜が〜
離れて暮らすようになった息子に対して、必要以上に気を使いすぎている
なぁと反省はするんだけど、月に1〜2回しか会えない間柄だとついつい
そうなってしまう。3人で暮らしたいという子どもの気持ちを知りながら、
2人で出した結論に対して後ろめたさがあるからか。
親は無くても子は育つと言いますが、本当によく育ってくれています。
人の話をよく聞かず話を決め付けるところは母親似でしょうか。
ところで、名前の本当の由来は、町田町蔵という芥川賞を受賞したパンク
ロッカーにあります。
元嫁の姓が丸尾だもんで、丸尾丸藏だと町田町蔵みたいな名前になるから
離婚しにくいだろうという、意味薄弱な理由なのです。そんなの現実の離婚
問題では屁のツッパリにもならなかった。
印鑑屋のおじさんがそれを聞いたらびっくりするだろうな。
もちろん出産当時、離婚危機が訪れるなんて爪の先ほども思ってません。
それにしても生まれたての彼の顔は、誰もが丸藏という名前に心から同意
する風貌だったのでした。(元義理の父は見に来れなかった)
来年は丸藏も小学1年生。
この先、名前でからかわれることは数知れずあるだろう。
それでもこの名前には自信と誇りを持っていて欲しいと願う。
丸藏が町田康(町蔵)の作品を読んだり聴いたりするお年頃になった時、
初めて本当の理由を教えてあげようと思う。
それを聞いて彼はどう受け止める青年に成長しているだろうか。
悪藏になっていたりして。
親バカ通信で申し訳ありません。
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